心血管エコー検査
心血管エコー検査
超音波検査は、人体に無害な高周波(超音波)をプローブ(探触子)から発生させ、体表面から内臓に向けて照射し、臓器に当たって跳ね返ってきた反射波を画像として表します。臓器の構造やドップラー効果を用いて血液などの液体の流れを評価する検査です。気体は超音波が伝わりにくいため、肺臓や消化管の描出には優れていません。超音波検査は、放射線を使わず被ばくの心配がないため、乳幼児や妊娠中の方でも安心して受けていただけます。ペースメーカーや人工弁などにも影響はありません
心血管エコー検査は心電図検査や運動負荷検査やABIなどといった循環器系の一般的な検査からもう一歩踏み込んだ検査になります。低侵襲な検査ですが循環器系の病気を診断する上で非常に有用な情報を多く与えてくれます。当院はGE社製のLOGIQ P10を導入しています。心臓の動きは全体が均等に収縮しているわけではなく血液を絞り出すように捻じれながら収縮しているため、そのタイミングのずれから正常な収縮でも一部分が弱くなっているように見えることがあります。LOGIQ P10ではAFIという機能で親近のスペックルトラッキングを行い、心筋壁運動の程度とタイミングを評価できます。
心臓超音波検査では、「壁厚・構造などの解剖学的異常」「全身に血液を送るポンプ機能としての収縮能力」「収縮前に心臓が広がって血液をためる拡張能力」「弁の狭窄や逆流などの血流の異常」などがわかります。
心房や心室の大きさ、壁の厚さや動きなどから、心肥大、心拡大、心筋梗塞とその範囲などが診断できます。また、心臓の弁の形や動きから、心臓弁膜症とその程度を判定できます。血流をみることで、弁膜症によってどの程度逆流が起こっているのかもわかります。心房中隔欠損症や心室中隔欠損症のような、生まれつき心臓の壁に穴があいている先天性の心臓病の診断にも有用です。
心臓は常に拍動していますが、動いている状態をリアルタイムに観察することで診断ができる疾患もあります。血液の流れる速度や方向は、弁疾患(弁膜症)の診断に不可欠な情報で、弁がうまく機能しなくなり血流が逆流している場合は「弁逆流」、弁が開きにくくなり、血液がスムーズに流れなくなっている場合は「弁狭窄」と診断できます。弁疾患の重症度も評価することが可能です。また心臓のポンプ機能がうまくいっていない状態の心不全も診断することができます。このポンプ機能が低下すると、全身に血流がうまく回らなくなり、うっ滞という状態を起こし、足がむくんだり、胸に水がたまったりします。
超音波検査は心臓病の診断だけでなく、治療方法の選択や治療効果の判定、手術可否の決定などにも役立ちます。
検査時は呼吸の調節をしていただく場合もあります。指示(息を吸う・吐く・止める)に従って呼吸の調節を行ってください。
血管エコー検査で行う血管には頸動脈、腎動脈、大動脈、下肢動脈、下肢静脈、透析シャント血管などがあります。血管壁の構造から動脈硬化の程度を判断したり、ドップラー効果を用いて血流の状態を把握したりすることによって狭窄の程度を同定します。血管内に血栓があればそれを同定することもできます。
検査時は呼吸の調節をしていただく場合もあります。指示(息を吸う・吐く・止める)に従って呼吸の調節を行ってください。